著書の紹介へ戻る

EBMと実地医療
名古屋市内科医会で,名郷直樹先生が「関節炎の診断」をテーマにEBMに基づく診断法についての講演をされた内容を元に作成された講演録である.仮説演繹法,ベイズの定理,尤度比,感度・特異度などEvidence basedな診断についての解説のみならず,名郷先生にとってのEBMの限界,EBMが名郷先生にもたらしたのもなど,講演ならではの興味深いテーマまで触れられている.演者の許可を得てここに公開します.

演者 南設楽郡作手村国民健康保険診療所所長 (現 横須賀市立うわまち病院 臨床研修センター センター長)

名郷直樹 

講演  平成14年6月8日  名古屋市医師会館にて

名古屋内科医会会誌 2002年Nov.15 No.112 p45-55  記録作成  名古屋市南区 伊藤伸介

内容

1.はじめに
2.EBMの5つのステップ
3.EBMの実例
   (1) 仮説演繹法
   (2) ベイズの定理
4.EBMの5つのステップをシナリオ症例に当てはめる
5.EBMの限界
6.EBMが私にもたらしたもの
7.最後に

筆記者注

 

1. はじめに

  本日は、日常臨床の現場でどのようにEvidence Based Medicine (以下EBMと略す)を活用するかについて、一般に話題に上るEBMに基づく治療の話ではなく、EBMを用いた診断の話を例に,EBMの実践法について概説する。私自身が携わっている医療は,家庭医療であるが,これを一言で言うなら一人の医師であらゆる問題に対処する医療と言うことである。つまり視点を変えれば、患者によって自分を変えると言うことである。臓器別の専門家医師は,自分の守備範囲がはっきりしており、患者の方が医者の守備範囲に合わせると言うスタイルになっている。それに対して私のスタイルは、自分自身の守備範囲は全くはっきりしておらず、患者の問題に自分の方から合わせて行くと言うものである。このような状況では、あらかじめあらゆる領域に対して勉強して準備しておくのは物理的に不可能であり、問題や疑問が生じてから勉強を始めるしかないであろう。このように問題が生じてから勉強を始める中で、EBMがどのように役に立つのか、あるいは役に立たないのか,その限界なども含めて解説をしたい。

2. EBMの5つのステップ

   表1 EBMの5つのステップ

  1.問題の定式化
  2.問題についての情報収集
  3.得られた情報の批判的吟味
  4.情報の患者への適応
  5.1-4のステップ評価

  EBMと言えば論文を検索して読む、あるいは大規模臨床試験やランダム化比較試験、ガイドラインというような話題の中で語られがちであるが、私にとっては1つのツールに過ぎない。したがって平常使っている血圧計や聴診器となどと同レベルのものである。EBMとは何かと問われれば、実はそれは単なる形式に過ぎないと答えるしかない。つまり目の前の患者の問題に対処する場合に,表1に示す5つのステップを利用して行う形式である。

  5つのステップのうち、最初のステップ1は問題の定式化である。つまり目の前の患者の問題を具体的にするために定式化する作業である。一人の具体的な患者のいないところにEBMの実践はあり得ない訳である。目の前の患者の問題が何かということを明らかにしたら、その問題について情報収集を行うのがステップ2である。次に情報を集めても、その情報にだまされてはいけない訳で,その情報が信ずるに足るものかどうか、きちんと批判的吟味を行う,これがステップ3となる。さらに集めた情報が正しくても、目の前の患者に役に立つかどうかは分からないので、この点について吟味を行うのがステップ4である。そして最後に、このようにステップ1から4までで提供された具体的な医療、まさに一人の患者に提供された具体的な医療が本当にその患者にとって最善のものであったかどうか反省と評価を行い、次に似たような患者が来院した場合、もう少しまともな医療を行う上で糧にすると言う作業がステップ5となる。以上のように一人の具体的な患者の問題に始まって、その具体的な患者へのフィードバックで終わる,このプロセスをEBMと呼んでいるのである。

3. EBMの実例

   表2 患者シナリオ

・50歳男性,昨日より右膝の痛みと腫れがあり来院
・検診で尿糖を指摘されたことがあるが放置している
・2年前にも同様な右膝の痛みを経験しているが,
 市販の痛み止めで4〜5日で軽快している

  一人の具体的な例を示し、この5つのステップに沿って、EBMを用いた診断法ついて例示したい。患者は50歳、男性で昨日より右膝が痛くて腫れてきたために来院した。以前検診で尿糖を指摘されたことがある.2年前にも同様な右膝の痛みの既往があり、市販の鎮痛剤で4〜5日で軽快している(表2)。この患者シナリオを読んだ時点でどのような疾患を思い浮かべるか,鑑別疾患のリスト作成を各自で試みてほしい。実際にそのようなリストを作成することによって、本日の話題の理解が容易になるであろう。

     (1) 仮説演繹法

   表3 検査についてのEBMの実践の基礎

・仮説演繹法
   鑑別診断の一方法
   その他の方法には,パターン認識法,
   アルゴリズム法,徹底検討法などがある
・ベイズの定理
   検査前確率と検査特性から検査後の確率を求める
   事前確率(有病率),尤度比,事後確率
   事前オッズ×尤度比=事後オッズ

  さてEBMに基づく診断の話をする前に、次の2つのことについて触れなくてはいけない(表3)。一つは仮説演繹法である.どのようなことかと言うと,我々が患者を診察した場合、鑑別診断のリストを瞬時に思い浮かべる訳であるが,そのときこの病気であればこの所見がある筈だとか、別のある病気であれば別のこの所見がある筈だとか考えながら,それぞれの疾患の可能性を上げたり下げたりしているのであるが,このようなことを繰り返しながら、最初に鑑別診断リストに挙げた病名を変化させ,ある1つの疾患の可能性が非常に高くなれば、そこで鑑別診断の作業を中止する.あるいは逆にある疾患の可能性が非常に低くなれば、その疾患は否定しても良いと考える,このような思考法を仮説演繹法と呼んでいる。




   表4 鑑別診断リストの作成

・頻度の多い疾患
   変形性関節症,痛風,偽痛風
・急を要する疾患
   循環障害,敗血症
・有効な治療のある疾患
   細菌性関節炎

  仮説演繹法を利用して鑑別診断のリストを作る場合、三つの軸で考える(表4)。1番目の軸は頻度の多い病気から考える方法である.シナリオの症例であれば、@変形性関節症,A痛風、B偽痛風と言うように,頻度の多いと思われる病気から思い浮かべて行く方法である。2番目は急を要する疾患、見逃すと大変なことになりかねない疾患の順に考える方法である。シナリオの症例であれば,@循環障害で血管が詰まって痛みが出ていると言う状態,A化膿性関節炎を起こし敗血症の一症状として膝痛を訴えている状態などである。3番目は有効な治療のある病気から考える方法である。例えば敗血症であれば,抗生物質という有効な治療法によって軽快するので,治療可能な疾患はきちんと診断しようと言うことである。この三つの軸にしたがって鑑別診断のリストを作成することがまず第一歩である。

   表5 鑑別診断リストの補強

・解剖学的な軸で考える
   骨,筋肉,靭帯,軟部組織,皮膚
・病因の軸で考える(VINDICATE)
   炎症(感染,非感染,アレルギー)
   外傷
   腫瘍
   循環障害

  臨床経験を積んでくれば、この3つの軸にしたがった思考法だけですむが、経験の少ない医師にとってはこれだけでは不十分である。これにつけ加えるとすれば(表5)、一つは解剖学的な軸で疾患を網羅するということである。例えばシナリオの患者であれば、骨の病気なのか、筋肉の病気なのか、靱帯の病気なのか、軟部組織の病気なか、皮膚の病気なかというように、解剖学的部位別に想起される疾患を網羅して行くと言う方法である。解剖学も利用して漏れのないリストを作る作業である。もう一つは病因論学的な軸を用いて考える方法である。これにはVINDICATEという覚え方がある.VINDICATEとは、Vascular血管性なのか、Inflammation炎症なのか、Neoplasm腫瘍なのか、Degeneration変性なのか、Intoxication薬物の効果や副作用なのか、Congenital先天性なのか、Autoimmune allergy自己免疫なのか、Trauma外傷なのか、Endocrine内分泌代謝なのかと言う軸で、鑑別診断上ほかに漏れたの疾患がないか網羅的に思考して行く方法である。このようにすれば炎症とか外傷とか腫瘍とか循環障害とか,様々な疾患の可能性について考慮して行くことが可能となろう。以上のようにして鑑別診断のリストを漏れなく作って行くこと、これがEBMに基づく診断のスタートである。

   表6 確率を考慮したリスト
 
      ・変形性関節症    50%
      ・痛風          20%
      ・偽痛風         15%
      ・細菌性関節炎    10%
      ・リウマチ性疾患    2%
      ・外傷          1%
      ・その他         2%

  ここまでの手法を用いて,先に各自が作成した鑑別診断リストを是非修正してみて欲しい。三つか四つ候補に上がっていた疾患を含めて、頻度の多い疾患は何か、急を要する疾患は何か、治療のきちんとある疾患は何か、それを解剖学的な軸と病因論学的な軸で網羅して、さらにしっかりしたリスト作成を試みて欲しい。EBMの思考法と言うのは、このように何気なく頭の中でやっていることを、言語化して共有化しようということであり、これがEBMの大きなその特徴の1つだと考えている。したがって慣れてくれば、このEBM的思考法が5秒あるいは10秒で終了するようになるが、そのゴールに至るためのトレーニングの一手段として、確率を考慮したリスト作成を試みたい。これはリストを作るときに、鑑別に挙がる疾患の可能性をそれぞれ定量化して、確率で考えようと言うものであり(表6)、まさにEBM的方法である。例えば変形性関節症が50%,痛風が20%、偽痛風が15%、細菌性関節炎が10%、リウマチ性疾患が2%、外傷が1%、その他が2%と言うように定量化する訳である。

表7 鑑別診断リストの修正1

「ぶつけたような記憶はありません
か?」と尋ねたら「2日前に玄関で
ぶつけた記憶がある」と言う

  ・外傷          45%
  ・変形性関節症    30%
  ・痛風          15%
  ・偽痛風         5%
  ・その他         5%
表8 鑑別診断リストの修正

2年前の検診データがカルテに残
っており,尿酸値 が7.4mg/dl(正
常 6.8以下)であった

  ・外傷          40%
  ・痛風          30%
  ・変形性関節症    25%
  ・その他         5%

  さて第一段階の定量化が終わったところで追加質問を行い,鑑別診断リストの修正を行う.例えば打撲の既往について尋ねたところ、2日前に玄関で打撲したことが判明した。そのような情報が加わった場合、私はリストに挙げた確率を表6から表7のように外傷の確率の見積もりを1%から45%に上昇させた。このような作業を行うのが仮説演繹法である.さらにこの患者のカルテを見ていたところ、2年前の検診データより尿酸値が7.4mg/dlであったと判明した。この情報によって確率の見積もりはどのように変化するのであろうか,表8に示す.表7では痛風は15%であったが,尿酸値が7.4mg/dlであったと判明して、私は痛風を30%にした。また外傷は45%から40%に減らした。このように所見を加えて、可能性をさらに変化させ確定診断に至っていく。以上が仮説演繹法であり,我々が日常普通にやっている鑑別診断の一方法である。

  ほかにもう2つ簡単に紹介する.一つはパターン認識法である。例えば前屈気味になって小刻みに歩いてくればパーキンソン病ではないかとパターンで認識する方法である.もう一つはアルゴリズム法で、枝分かれの表にしたがって、ある所見のあるなしで診断に至るという方法である。

     (2)ベイズの定理
  EBMに基づく診断の話の上で,もう1つ重要なベイズの定理を詳解する(表3)。何か所見を得る前に,あらかじめある病気である可能性がどれぐらいであるか見積もっておき、新しい所見が加わった後どのくらいその病気である可能性が変化するかを、非常に単純な正比例の式、事前オッズ×尤度比=事後オッズで表すことができると言う定理である.ここで事前オッズとは、理学所見や検査結果を得る前の病気のオッズ(筆記者注1)のことである。この定理に基づいて事前オッズと尤度比の積を求めると、ある所見に対する情報が加わるとどれくらい病気の可能性が増すか,逆にその所見が見られないと可能性が下がるか,このようなことを計算によって求めることができる訳である(表9).

   表9 ベイズの定理によるリストの修正

・事前確率と検査特性から事後確率を求める
  1.ある所見があった場合,その疾患の可能性
    がどれほど増すか
  2.ある所見がない場合,その疾患の可能性が
    どれほど減るか
  3.ベイズの定理
       事前オッズ×尤度比=事後オッズ

  シナリオの患者を例として説明する。患者が2日前に玄関で打撲したと言う情報は、外傷の可能性を1%から45%に変化させた。つまり玄関で打撲したという所見は、外傷の可能性を1%から45%に上昇させる尤度比を持つということになる。あるいは2年前の検診の尿酸値が7.4mg/dlであったと言う所見は,痛風の確率を15%から30%に変化させた。これも打撲の所見が加わったのと同様に,高尿酸血症の既往という所見が痛風の可能性を15%から30%に上昇させる尤度比を持つということである。さらにこの患者の病歴を調べて行くと、痛風結節の既往は見られなかった.この痛風結節が見られないと言う所見は痛風の可能性を低下させると考えられる。あるいは皮膚の発疹や朝のこわばりの既往もなかった。このことはリウマチの可能性を低下させると考えられる。さらに最近の尿道炎の既往もなかった。このことは化膿性関節炎の中で頻度が多い淋菌感染症後の感染性関節炎の可能性を低下させると考えられる。あるいは膝関節レントゲン写真の所見で、軽度の変形性変化のみで石灰化が見られないのであれば、変形性関節症の可能性が上昇し偽痛風の可能性は低下すると考えられる。もし関節液を穿刺によって得ることができたとして、混濁して透光性がないのであれば、変形性関節症の可能性が下がって、痛風・偽痛風の可能性や化膿性関節炎の可能性が上昇すると考えられる。

  実はこのような所見一つ一つが全て尤度比を持っているのである。したがって従来我々が行っていた鑑別診断を考えると言う行為も、一つ一つの情報について無意識のうちに尤度比を与え、仮説演繹法とベイズの定理を使いながら、鑑別診断に利用していたのである。ここからEBMに至るために2つのことが必要となる。一つはベイズの定理の式を理解するということ、もう一つは確率を数字で見積り、定量的に考えることである。ここで確率の見積もりについて考えてみたい(表10)。

   表10 仮説演繹法からEBMへ

・事前オッズ×尤度比=事後オッズ
・確率を数字で見積もる
   事前確率のエビデンスを利用
     電子カルテ,臨床統計
・確率の変化を尤度比から計算
   感度,特異度を求めた研究を利用
     原著論文,2次資料
・経験,直感に外部のエビデンスを追加 

  まず、最初の確率つまり事前確率の見積もりである。ここまでの作業では事前確率を直感的に見積もったが、これも外部データを引用して見積もったり、自院のデータを電子カルテなどを利用してデータベース化しておいて見積りに利用できれば、さらに客観的なエビデンスの利用と言うことになる。もう1つは、尤度比の見積りである。例えば打撲したと言う所見が、どれぐらいの尤度比を持つのか数字で求めることができる。尤度比は感度、特異度から求めることができるので感度、特異度についての研究を利用して、尤度比に関するエビデンスを引用するとこができる。ここで強調しておきたいことは、このように定量化して見積もった確率が正確であると言う保証はないと言うことである。やはりそれは1つの参考資料に過ぎなく、あくまでも経験的あるいは直感的に得られた確率に、このような定量的扱いを付け加えることによって、目の前の患者さんに今までより少しはましな医療を提供していこうではないかということ、それが仮説演繹法からEBMへの進化ではないかと私は考えている。

4. EBMの5つのステップをシナリオ症例に当てはめる

    表11 Step 1.問題の定式化

・Patient   成人で膝の腫れと痛みのある患者
・Exposure  どのような検査所見があると
・Comparison 所見がない場合と較べて
・Outcome  確定診断できるか

  ここでEBMの5つのステップに沿って、もう1回シナリオの症例について考えてみたい。まずステップ1 問題の定式化である。このステップでは問題を明確化するためにPECOと言う4つの要素を用いる.つまり,どのような患者に(patientのP)、どのような検査をすると(exposureのE)、どのような検査と比較して(comparisonのC)、どのような良いことがあるのか(outcomeのO),以上の4要素PECOを抽出して定式化し患者の問題を明確化する。ここで私が強調しておきたいことは、outcomeというのが、本当に患者にとって意味のあることなのか、設定に当たってよく考えて設定すべきであると言うことである。シナリオの患者の問題を定式化したものを表11に示す.Outcomeを「確定診断」とした場合、何となく患者にとって役に立つように思われるが、むしろ「不必要な検査をせずに済むか」とか、「医療費が少なくて済むか」とか、「なるべく苦痛の少ない検査でできるか」とか、そのような項目をoutcomeとして設定した方が,より患者にとって意味のある良いことなのかも知れない。

  次にステップ2 情報収集である。ここでもEBMでは以下の3つの特長を持った情報を大切にしている。1.妥当性が高い情報であること。つまり情報が正しければ正しいほど臨床医にとって有用であると言うこと。2.関連性が高い情報であること。つまり患者の問題に関連性が高いほど有用であると言うこと。3.労力が少なくて入手できる情報であると言うこと。EBM以前というのは、情報そのものが正しくて患者にピッタリすれば、それで良いのではないかというのがEBM以前の考え方であった。EBM以後どうなったかと言うと、生涯続けられるような楽な方法で得られる情報でなければ、いくら妥当性が高く、関連性の高い情報でも役に立たないということが強調されるようになった。それがEBMのもたらしたものである。したがってEBMというと、Medlineを検索して、原著論文を引き出して、論文を隅から隅まで読んで大変だなというふうに思われる場合があるだが、それはむしろ逆である。EBMの視点というのは、そんな無理な勉強のやり方をするともう疲れ果てて、患者に向き合うエネルギーまで吸い取られてしまう。だからそんな労力を必要とする無理な勉強法はやってはいけない。なるべく楽な勉強方法で行い、患者に向き合うエネルギーを最大限する。これがEBMの視点である。そこで利用するのが二次情報である。一つ一つの原著論文を一次情報と呼ぶが、個々の一次情報に当たっていては大変であるので、一次情報を第三者がまとめて、楽にしてくれた情報源のことを二次情報と呼ぶ。我々が良く用いている情報源は、1つは「Up To Date」というとCD-ROM版の電子教科書である。これはWeb上でwww.uptodate.comからカード決済で購入することができる。あるいは、日本では南江堂の洋書部を経由して購入することも可能である。もう1つは、アメリカ医師会雑誌に連載されている「Rational Clinical Examination」 シリーズである。病歴と診察所見でどの程度のことまで分かるかと言う連載シリーズである。これも非常に有用で、これを全部コピーしておいて、診察室の机の中に入れておいて活用している。最後の1つは、アメリカ内科学会が出版している「Diagnostic Strategies for Common Medical Problems」という診断についての教科書である。この書は大変Evidence based(筆記者注2)で、我々がよく見る一般的な疾患の診断について非常によく書かれている。以上のような情報源を使って、楽に勉強を行って、患者に集中する時間を大切に残しておくことが,ステップ2でのコツになる。

R.J.Panzer et. al. : Diagnostic strategies for common medical problems. Second edition, 1999.p394
   表12 痛風関節炎診断基準

・1回以上の急性関節炎
・1日で症状のピーク
・単関節炎
・関節の紅斑
・母趾基部の痛みまたは腫脹
・片側の母趾基部の急性関節炎
・片側の距骨の急性関節炎
・痛風結節
・非対称の関節腫脹
・高尿酸血症
・レントゲン上の骨びらんを欠く骨のう胞
・関節液培養陰性

  そこで複雑な文献検索とか取り寄せた原著論文を一生懸命読むと言ことは行わずに,実際に3番目に上げたDiagnostic Strategies for Common Medical Problemsという教科書で検索してみたところ、Acute Monoarticular Arthritis、つまり急性単関節炎という章があり、12項目からなる痛風関節炎の診断基準がみつかった(表12).これをシナリオの患者に適応してみるたところ,1回以上の急性関節炎発作は一致した。次に1日で来る症状のピークについてシナリオの患者に尋ねてみると、1日以内、つまり夕方から次の日の朝にはもうピークが来ていたことが判明し,これも一致した。3つ目の単関節炎も一致する。関節に赤みがあったということで、紅斑も認めた。拇趾の基部の痛み腫脹については認めなかった。ここまでで6項目中4項目一致である。片側の距骨の急性関節炎は認めなかった。痛風結節も認めず。非対称性の関節腫脹は、片側性であるので一致する。高尿酸血症も2年前の検診データで認めた。レントゲン上骨びらんを欠く骨のう胞所見は認めなかった。関節液培養は、この時点ではまだ結果が判明しておらず陰性かどうか分からないので、一応満たさないと言う判定をしておく。以上より12項目中6項目一致と言う結果であった。この場合のように6項目満たすと言うことをどのように理解すれば良いのかについて,尤度比と言う形でDiagnostic Strategies for Common Medical Problemsに示されている(表13)。ここでこの尤度比を利用する前に、もう一回このような情報が加わった場合、我々の過去の経験からこの患者の痛風の可能性がどのように変化するかについて考えて見たい。

  シナリオの患者ついてあらかじめ痛風である事前確率を10%であると見積もったする。これをオッズに直すと事前オッズは、0.1/(1−0.1)で1/9になる.そして問診を進めていって6項目を満たしたと分かった時点で、私は事後確率が80%と予想した。これをオッズに直すと、0.8/(1−0.8)=4となる。ベイズの定理から事前オッズ1/9と,6項目陽性という所見が持つ尤度比Xの積が事後オッズになるのであるから,1/9 × X=4と言う式からXを求めることができる。つまりX=4/(1/9)ということで、36がX,つまり6項目を満たした場合の尤度比と言うことになる。繰り返しになるが診断基準を6項目満たす所見というのは、私が直感で見積もった場合、尤度比36と見積もったと言うことである。

  次に関節液で痛風結晶が陽性の場合、痛風の確率はどうなるかを考えてみたい。まず事前確率を今度は50%と仮定する。オッズで現すと0.5/1−0.5、すなわち1になる.そして痛風結晶が陽性と判明した場合の事後確率を99%と判断した場合、オッズでは0.99/1−0.99、つまり99になる。以上より1が99になるというように私は見積もった訳なので、痛風結晶が陽性であることの尤度比は99であると見積もったことになる。以上が経験と直感で見積もった場合の尤度比である.この値をevidence based に今度は先に示したDiagnostic Strategies for Common Medical Problemsから引用した場合どうなるか調べてみる(表13)。

R.J.Panzer et. al. : Diagnostic strategies for common medical problems. Second edition, 1999.p396
  表13 痛風関節炎に対する各種所見の尤度比

陽性尤度比 陰性尤度比
診断基準6項目以上を満たす    22    0.13
診断基準5項目を満たす    8.6    0.05
血清尿酸値>7mg/dl    1.9    0.19
関節液の尿酸結晶    85    0.15
痛風結晶    30    0.71

  12項目の診断基準のうち6項目以上ある場合の尤度比は22であった。つまり痛風である確率が痛風でない確率の22倍であると言うことであり,6つ満たせばほぼ確実な痛風と言える考えられる。さらに、関節液にて尿酸結晶が認められた場合の尤度比は85であり、痛風である確率が85倍になると言うことであった。どちらも非常に優れた所見であると言える。私は、経験と直感より6項目満たした場合の尤度比を36,痛風結晶陽性の場合の尤度比を99と見積もった訳だが、このような自分の経験,直感と,このようなevidence basedな書物にある数字を照合してみて、まあまあそれなりに見積もれていたと分かった。ただ事前確率がまだうまく見積れていないという状況であるが,なおこれは自分の経験と直感で見積もるより仕方がないと言うのが現状であろう。

  さてここで尤度比はどのようにして計算されるのか,再度触れてみたい.実は尤度比は、感度と特異度というものから計算される。感度とは疾患を持つ人のうち、正しく診断できる確率、すなわちa/(a+c)である(表14).特異度とは、疾患のない人のうち、疾患病気のない人を正しくないと診断できる確率で、d/(b+d)となる。感度の高い検査というのは見落としが少ない。特異度の高い検査は確定診断に至ることが可能である。さらに疾患(+)の列で考えれば、真陽性率というのが感度である。真陰性率というのが特異度である。そうすると尤度比というのはこの感度と特異度から、尤度比=感度/(1−特異度)と言う式で表される。特異度が高ければ高いほど尤度比が高い、感度が高ければ高いほど尤度比が高いということになる。

表14 感度と特異度

疾患あり 疾患なし
検査陽性 a b
検査陰性 c e

感 度=a/(a+c) 真陽性率
特異度=d/(b+d) 真陰性率

  次にステップ3批判的吟味である.情報収集が終わったら、そのDiagnostic Strategies for Common Medical Problems に記載されていた尤度比が本当に信ずるに足るものであるかどうか、批判的に吟味すると言うステップである。ところがこのDiagnostic Strategies for Common Medical Problemsは,非常にevidence based な方法で作成されているので,いくら自分が頑張って吟味をしたところで、もうこれ以上のものは出てくるはずはないと私はあきらめているほどであるので、Diagnostic Strategies for Common Medical Problemsから情報が得られた場合,この吟味すると言うプロセスは省略することにする。

  最後にステップ4である.ここまでで非常に優れた情報が得られたが、次に得られた尤度比22、85がどのように患者に適応できるのか考える,それがステップ4である。これまで目の前の患者の事前確率を経験や直感に基づいて10%とか50%と見積もっていたが、今度は正確な見積りが必要となる。その場合一番有用なのは、自分自身の診療所での臨床統計なのである。私自身は以前,1年余り電子カルテを用いて情報を集積したことがあったが,それを利用した場合,膝が痛いと訴えて来た患者のうち何人が痛風であったかというような自院での情報を得ることができた。実際に1年間に膝が痛いと訴えて来院した患者は100人であったが、そのうち8人が痛風であった。したがって私の診療所での事前確率は8/100となる。これと6つの診断基準を満たした場合の尤度比22の積を求めて、事後確率を計算行う。まず事前確率をオッズに直すと、0.08/1-0.08=0.087になる.これに尤度比22を掛けて事後オッズを出し(0.087×22=1.91)、その事後オッズを確率に変える訳である(1.91/1+1.91=0.66 つまり66%)(筆記者注3).したがって、膝痛100人のうち痛風は8人であると言うような臨床のセッティングでは、12の診断基準のうち6項目を満たすと、その患者の痛風の確率はもう半分以上(66%)であると言う目安が出ることになる。さらに事後確率が66%であれば,その後どのように対応するか考えてみたい。

  実は、事後確率が66%あっても30%以上は他疾患の可能性が残ることになる.リウマチ性疾患であったり、変形性関節症であったり、あるいは細菌性関節炎などである可能性がまだ30%も残るのである。このような状況で、その後どのように対応するのか,例えば追加検査を行う、痛み止めを処方する、あるいは抗生剤も処方するなど、いろいろな対応が考えられる。それで、私であればどう考えるかと言えば、取りあえず一つの疾患に絞り込めると言ってもその確率が66%では不十分ではないかと考え,追加検査が必要と考えた。関節液での尿酸結晶の尤度比は85であるので、穿刺液でそれを認めた場合ほとんど痛風と診断できるので、穿刺液検査は行っておきたいと考える。ところが、実際には検査センターへ夕方検体を提出しても、午後7時くらいにならないとファックスで結果が返ってこない。それでいて今、患者は帰宅を希望している,そのような状況が現実である。そんな中で現実的な対応として,取り敢えず非ステロイド系消炎鎮痛剤を投与して、明日もう1回午前中の外来で診察することとした。残り30%以上は化膿性関節炎など痛風以外の疾患の可能性がある.したがって検査結果が判明するまで1日だけ抗生物質を処方し、抗生物質と非ステロイド系消炎鎮痛剤の両方を内服させた方が良いかも知れないと言う考慮も働く。以前の自分であれば12診断基準のうち6項目を満たしたから痛風で良いだろうと納得してしまっていたが、このような考慮ができるようになったことが,EBMの作業を用いるようになって自分自身の診断に関する能力が一歩進歩したと実感させる。

  さてその後、午後7時にファックスにて検査センターより穿刺液から尿酸結晶陽性の結果が届き、めでたしということになった訳である。つまり尿酸結晶陽性の尤度比は85であったので、事後オッズは(0.66/1-0.66)×85=165、確率になおすと、165/(165+1)=0.99、要するにほとんど100%である。したがって、ファックスが返ってきた時点で、もう痛風と確定診断してよいことが分かった。

  ところで、最後に関節液の尿酸結晶が陰性であった場合のことを最後に考えてみたい。今まで話をしてきたのは陽性尤度比と言って、検査が陽性であった場合に利用するものである。一方検査が陰性だったときにも、その陰性所見はある尤度比を持つ。その陰性尤度比というのは、先に述べた 感度/(1−特異度) という式ではなく、陰性尤度比=(1−感度)/特異度と言う式によって導くことができる。それで尿酸結晶が陰性である場合の尤度比は表12より0.15であるが,この陰性尤度比を使ってファックスの結果が陰性だった場合について考えてみたい。診断基準6項目陽性であったときの確率は66%であったので,尿酸結晶が陰性の場合の事後オッズは0.66/(1-0.66)×0.15=0.29になる。確率に再計算しなおすと、0.29/(1+0.29)=0.22、つまり22%となる。したがって尿酸結晶が陰性であった場合でも,痛風である人が5人に1人(1/5=20%)残っていることになる。診断基準を満たした上で尿酸結晶が陰性であっても、翌日の外来ではまだ22%痛風の可能性が残っている、このような状況でどうするか考えるのもステップ4である。ここまでで、様々な疾患が鑑別診断に上がったが(表8)、これらの疾患に対しておしなべて非ステロイド系消炎鎮痛剤の投与は問題ないので、鎮痛剤は出すこととした。問題は感染の可能性が高いと考えたときの抗生剤の投与についてである。ここまでのところ、感染の可能性も10〜20%ありそうなので抗生剤も投与しておこうと私は考えた。そして細菌培養の結果を待つこととした。

5. EBMの限界
 
  EBMの作業を行うとEvidenceを得たのだから,必ず一定の方針が定まると読者の方々は思うかも知れないが、それは実は全く逆なのである。シナリオの症例の場合でもEBMのプロセスを通して分かることは、確率100%の確定診断は全く得られない,あるいは確率0%の否定診断も得られないと言うことである。診断基準を満たしてある疾患であるかのように思えても、実は例えば痛風の場合、66%が痛風であるに過ぎない。あるいは、穿刺液で尿酸結晶陰性と言う結果であっても、痛風の可能性が22%も残っていて、全く痛風の否定ができない。つまり何だかよく分からない状況で治療へと進まないといけない。そしてEBMを通してよく分からない状況が明らかになると言うことなのである.さらに大切なことは、よく分からない状況で目の前の患者にどのように医療をするかと言うことは、Evidenceが決めるのではなくその個別の患者に向き合っている私達自信が患者と交渉しながら決める以外にないと言うことを,実はEBMが明らかにしているのではないだろうかと言うことである.

6. EBMが私にもたらしたもの
 
  最後に私自身がEBMを診断のプロセスに利用するようになって,どのように変わったかについてお話する。まず問診と診察により、検査を行う以前にできるだけ疑う疾患の可能性を高めておくようになった.ある疾患を思いついても,事前確率が低い疾患であれば、いかに尤度比が高い検査をしても事後確率はあまり上がらない.例えば1%の事前確率の疾患に対しては,もし尤度比22などという大変有用な検査を行っても、事後確率は20%にも満たないことになる状況になっているわけである(0.01/(1-0.01)×22=0.22 0.22/1+0.22=0.18 つまり事後確率18%)。したがって、できるだけ最初の問診、診察の段階で,疑う疾患の事前確率が50%くらいまで上がったと考えられたところで確定診断の検査を行うようにしている。このように問診と診察を重視するようになった。

  もう1つは、念のために行う検査が減少した。万が一ある重篤な疾患が心配だからと言って検査を行ってもし陽性に出たとしても、事前確率が低い状況では大部分は疑陽性であるので,どんな結果が出ても訳が分からないことになってしまう(筆記者注4).このような2つの点がEBMによって私自身が一番変わった点である。要するに、我々は見落としばかりを危険視するのであるが,過剰診断の不利益の方も意識するようになったと言うことである。

7. 最後に
 
  EBMとはSackettによって「個々の患者の医療判断の決定に、最新で最善の根拠を、良心的かつ明確に、思慮深く利用すること」と定義されている(Sackett DL et al.:BMJ,312:71,1996.)。EBMと言えば大規模臨床研究の結果にだけ基づいて医療を行うと言う誤解は,この定義の中の「最新で最善の根拠」という部分ばかりが一人歩きしてしまった結果である.しかしEBMの最初の定義には、「個々の患者の医療判断の決定」と言う語句がしっかりと記載されている。標準化とか一般化ではなく,具体的な一人の患者にどういう医療を提供するかと言う個別化こそが,EBMなのである。ただ、この定義は漠然として難解なので、私なりに解説を試みたい。

  目の前の患者の話をよく聞き、よく診察する.これは言ってみれば患者のEvidenceと言うようなことである。次にその患者によく似た患者についての研究結果をよく勉強する、これがいわゆる外部のEvidenceということになる。その2つを統合して、目の前の患者に活かして行くに当たり,外部のEvidenceを過剰に重要視するのではなく,むしろ患者からのEvidenceを尊重して,その患者からのEvidenceと外部のEvidenceを統合し患者に活かして行くのである。膝の痛い患者に一般的にどうしたら良いか,それを問うのがEBMではないのである。膝の痛みを訴える、今まさに目の前にいるこの患者にどういう医療を提供するのが良いのだろうか、その思考過程行動こそがEBMなのである(図)。

図  再びEBMとは

  この作業を5つのステップということと対比して考えると、ステップ1というのは言ってみれば、いかに患者からの情報収集をきちんと行うかということである。その次のステップ2,3というのは、その患者に類似する患者を扱った外部のEvidenceをいかにきちんと収集し、批判的に吟味するかである。ステップ4でその2つのEvidenceを統合し目の前の患者に生かしていく訳である。さらに、ステップ5で全体の作業が目の前の患者に本当に最善のものであったかどうか評価・反省を行い,次につなげて行くのである。

  実践してこそEBM。具体的な患者がいないところにEBMはないのである。あるいは考えるだけのEBMと言うようなものもあり得ないのである。私自身、「EBMとは何なのか」とよく問われるのであるが、EBMとは何かということに対しては、もう自明である.答えを考えている暇があるなら、目の前の患者にとって最善の医療は何かと逆に問いたい。あるいは「EBMは役に立つのか」とも問われる。これもそんな質問にももう答えるのはやめたい。そんなことに答える暇があったら、目の前の患者と向き合っている我々自身が,その患者の役に立っているかどうか自問すべきではないだろうか。また今回は批判的吟味についてほとんど触れなかったが、EBMで良く話題になる批判的吟味であるが、批判的になるべきは本当に論文に対してなのだろうか問いたい.私自身がこのプロセスの中で学んだ最も大きなことは、批判的になるべきは論文に対してではなく、論文に向き合う自分自身に対してではないだろうかと言うことである.患者に医療を提供したのだが、提供したその医療は本当に最善のものであったかと自省を行うと言う形で批判的吟味が自分自身に向けられない限り、EBMは害にもなり得るのではなかろうかと言うことを指摘して講演を終えたい.


筆記者注

注1 オッズ
オッズと言っても我々には聞き慣れない言葉である.オッズとはあることが起きる確率(aとする)を,あることが起きない確率(bとする)で割ったものである.式にして表すと オッズ=a/b となる.ここであることが起きない確率とは1-aであるので、オッズ=a/(1-a) とも表せる.例えば今夜中日ドラゴンズが勝つ確率が60%であるならば,それをオッズで表した場合,以下のようになる. 
中日ドラゴンズが勝利するオッズ=0.6/(1-0.6)=0.6/0.4=1.5
また、検査などの情報が加わる前のオッズを、検査などを行う前のオッズと言うことで、事前オッズと呼ぶ。
注2 Evidence based
Evidenceとは,ある事項に対して求めた情報の中で,最新最善の科学的根拠のことである.Evidence basedとは,そのような情報源だけを採用し作成されていると言うことである.
注3 オッズから確率への計算
オッズを再び確率に戻すときに利用する式は,下記のようになる
確率=オッズ/1+オッズ
これを注1の例を利用して例証してみると,以下のように元の確率60%に戻る
   中日ドラゴンズが勝利する確率=1.5/1+1.5=1.5/2.5=0.6
注4 念のために行った検査が陽性に出ても殆どが疑陽性である
念のために行った検査の事後確率を求めてみよう.事前オッズ×尤度比=事後オッズであったことを思い出して欲しい.ここで万が一心配である疾患の事前確率は大変小さいので,事前オッズも大変小さな数字となる.そこで陽性であればその疾患であることを支持する検査を行って,もし陽性に出たとしてその検査の尤度比と事前オッズの積を求めても,事前オッズが小さいために事後オッズはほとんど上昇しないことになる.事後オッズが小さければ事後確率も小さいが,事後確率が低いと言うことは,検査が陽性であっても疑っている疾患である確率が低いと言うことで,結果的に検査の陽性反応は疑陽性であったことを示している.つまり念のために行った検査が陽性に出ても殆どが疑陽性であると言うことである.

謝辞  当院のホームページへの掲載をご許可いただきました名郷直樹先生に深謝いたします

名郷先生と伊藤
(2003年3月1日)