動脈硬化性疾患予防ガイドライン普及啓発セミナーのパネルディスカションに参加して

日時 2008年2月24日 10:00〜12:05
会場 ヒルトン名古屋

開業医や産業医として「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」をどのように使用するかについての,普及セミナーが名古屋で行なわれました.パンフレットはこちらをごらん下さい.その中で行なわれた総合討論に,開業医の立場からの発言を求められて参加してきました.日曜の午前中にも関わらず,約100名もの熱心なドクターが参加して行なわれました.前半はこのガイドラインを作成した委員長や委員の先生方からの,ガイドラインに関する解説が行なわれ,後半が私が参加した総合討論となりました.(壇上の向かって一番左側にいるのが私です)
さて総合討論では,私がこのガイドラインを読んで感じた疑問について10分ほどお話をし,それに対してガイドライン作製の委員長および委員の先生方からご回答を得る形で討論は進みました.以下私の提出した疑問と回答についてまとめます.

 

疑問1 女性では男性より心血管病の発症が少ないとされているが,治療方針はガイドラインに示されるようしっかり行なった方が良いのか?
疑問2 間もなく後期高齢者の年齢に到達する男性への治療方針は?
疑問3 LDLコレステロールと中性脂肪.どちらの治療が優先されるのか.あるいは併用療法はどのように行なうのか?
疑問4
日本人では欧米人に較べて同じコレステロール値であっても,心筋梗塞などの冠動脈疾患発生率が低いことが,どのようにガイドラインに反映されているのか?
疑問5 スタチン系薬剤と発ガンについてどのように考えられているのか?
以下がそれぞれの疑問に対して,講師の先生方から頂いた回答のまとめです
回答1 日本人の血中コレステロールは段々上昇してきている.現在日本人は世界最長寿であるが,上昇してきているコレステロールの害から女性も守り,現在の日本の長寿を維持したい(寺本先生)

現在の日本では高血圧の害,喫煙の害などの啓蒙が進み,良い健康状態が得られつつあるが,コレステロールについてもガイドラインに沿って治療を行い,このよい状態を維持したい(上島先生)
回答2 後期高齢者でもADLが保たれ活動性の高い人は,的確な治療が望ましいと考える.また高脂血症治療中に75歳に到達した人も,PROSPER研究でエビデンスが得られているので,中止せずに治療の継続が望ましいと考える(寺本先生)
回答3 極端に中性脂肪が上昇し,かつHDLコレステロールが低いケース,および糖尿病合併の高中性脂肪血症のケースではフィブラート系薬剤の使用を考慮する(寺本先生)
回答4 MEGA研究から得られる日本人でのスタチン系薬剤での心血管イベントの予防効果は5年で治療必要人数(NNT)が100を超え,費用対効果が悪いとは考えている(寺本先生)
回答5 14の論文のメタ分析(Lancet 2005; 3661267-78. )により,一応否定されていると考える(伊藤伸介自身が自分に回答)
質問をさせていただく機会を与えていただき,勉強になったと同時に,日ごろ高脂血症(現在では脂質異常症という名称に変わったそうです)の治療に対して疑問に思っていたことに,識者の先生からご回答を頂いたことで,疑問の解決ができ,非常に貴重なありがたい機会となりました (^-^)

またこのセミナーを聴講してみえた,日経メディカル誌の記者の方から取材の依頼があり,後日記事になりました